相続手続Q&A

お客様から寄せられる質問を掲載しています。ご参考にしてください。

他府県に不動産があります。愛知県からでも登記の申請ができるのでしょうか?

 他府県でも登記申請できます。全国どこの法務局でも申請できます。
郵送で申請書を送り、できあがった登記識別情報は簡易書留で郵送を依頼し、受け取ることができます。
現在は、申請もオンラインで申請することができます。これを利用すると、登録免許税が1割減税(最大5,000円まで)されます。大変お得な制度ですので、ご利用下さい。 

相続登記はいつまでにしなければならないのでしょうか?

相続登記については、いつまでに、という期限はありません。
しかし、時が経つにつれ、他の相続人の心境や人間関係に変化が生じ、当初は直ぐにでもできると思われた登記が、時間が経ってからでは事実上不可能となってしまう場合がありますから、相続人間で話し合いがまとまっているのなら、なるべく早く手続を済ませておくべきでしょう。

父が書いた遺言をもとに、兄が全て不動産の名義を兄自身に移してしまいました。私(妹)自身が手続にかかわっていないのに、できてしまうのでしょうか?

お父様の遺言が有効なものであれば可能です。
公正証書遺言であれば、それのみで効力があり、自筆証書遺言であれば、検認の手続きをして、裁判所から有効なものだと判断されれば、効力があります。遺言の文言の中に「全ての財産を○○(兄)に相続する」という、文言があれば、その遺言をもとに、お兄様のみで手続きができてしまいます。

しかし、手続が終わった後でも、その他の相続人は遺留分減殺請求ができます。これは、法律で保障された最低限の相続分(法定相続分の2分の1)で、手続が終わった後でも主張できます。但し、被相続人の兄弟姉妹には遺留分はありません。また、遺留分を侵害したことを知ったときから1年以内、もしくは知らなくても10年を経過すれば、時効で消滅してしまいます。ご注意ください。

父が亡くなりました。遺言があったのですが、この文言通りに手続しないといけないでしょうか?話し合いで違う分け方はできないですか?

遺言は故人の意思なので、遺言の文言通りに財産を分けるのが原則です。これを指定相続分といい、法定相続分より優先されます。
しかし、相続人全員で話し合いをし、別の分け方がまとまるのであれば、遺産分割協議をあらたにすることができます。

遺産分割協議をします。土地全てを受け取るかわりに、その価格を兄弟に支払います。支払う金額はどの価格で見積もるべきでしょうか?

遺産を一括承継した相続人が、他の相続人に金銭などを支払う分割方法を「代償分割」と言います。

土地には3つの価格があります。

①実勢価格(不動産売買の価格)
②路線価評価(相続税や贈与税の時に使う)
③固定資産評価(名義変更の時に使う)

この3種類の価格は

①  :  ② : ③ = 100 : 80 : 70  (おおよそ)

以上のように、どの価格で見積もるかによって、土地の価格に差がでてしまいます。

遺産分割協議では、どの価格で見積もるべきか、決められてはおらず、それは全て相続人全員での話し合いで自由に決めることができます。

ご家族が今後円満に生活が運ぶように、納得できる価格を話し合いで決められることをお勧めします。

相続人の中に行方不明の者がいるのですが、どうしたらいいでしょう?

相続人が一人でもかけていれば遺産分割協議は進みません。

まずはその行方不明者は、
①どこに住んでいるのかがわからない。
②相続人にはたぶん他に子供がいた。
③何年も連絡をとっていなく生きているかもわからない。

といったように様々です。

まず①②③共通して言えるの事は、必ず相続人を確定することです。「たぶん子供はいない」などのように先入観を持たず、戸籍謄本・除籍謄本などを取り、まず被相続人の親族関係を完全に調べることが重要です。

行方不明者を探すにあたってご自身でできることは、戸籍を追って行き、現在の本籍を探します。その本籍地の市区町村で発行される「戸籍の附票」から現在の住所がわかります。ただし、これはあくまでも住民票のように公の機関に登録されている住所です。もし本人が住民票の住所を変えていなかった場合(例えばどこかに居候しているとかで)特定するのはむずかしくなります。

では、遺産分割協議が進まないかといえばそうではありません。家庭裁判所に「不在者財産管理人」の申立をし、不在者財産管理人を選任してもらいます。不在者財産管理人は不在者の相続分を保管し、家庭裁判所の許可を得れば遺産分割協議に参加することができます。
③の場合は、行方不明になって7年間以上経過していれば家庭裁判所に失踪宣告の申立をすることができ、死亡したものとみなされます。(普通失踪)
こういった場合にも、遺言を残しておけば遺産分割協議を行う必要はないので、特別な手続きをすることなく、しかも被相続人の意思通りにスムーズに手続きが進みます。

遺留分って何ですか?

 民法が相続人に保証している、一定割合の相続分です。
例えば、遺言で「長男に全財産を相続する」と残されていたとします。基本的に遺言の内容は自由に決めることができます。しかし残された他の子供たち(妻、次男、三男…)は遺産を受け取ることができなく、不公平になります。そこで遺言にも勝る最低限の相続分を、民法は保証しています。
遺留分の割合は、相続人によって異なります。

  • 子と配偶者が相続人・・・・・子が4分の1、配偶者が4分の1。
    ※配偶者が死亡している場合は子が2分の1。
  • 父母と配偶者が相続人・・・・配偶者が3分の1、父母が6分の1。
    ※配偶者が死亡している場合は父母が3分の1。
  • 配偶者のみ・・・・・・・・・2分の1
  • 兄弟姉妹と配偶者が相続人・・配偶者が2分の1、兄弟姉妹は遺留分なし

<参考>民法1028条(遺留分権利者とその遺留分)

兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、次の額を受ける。

①直系尊属のみが相続人であるときは、被相続人の財産の3分の1
②その他の場合には、被相続人の財産の2分の1

遺留分は請求して初めて効力が生じます。請求しないともらえないのです。

そして「知ったときから1年以内、相続開始から10年以内」という時効もあります。遺留分があることを知ってから1年の間で請求をしなかったら、また何も知らずに10年が経過したしまったら、最低限の相続ももらえないのです。

遺留分を侵害した相続や遺言をすると大きなトラブルを招くケースが多いです。一人の人に遺産を集中させたい場合など、感謝の気持ちで多く渡したい人がいる場合など、十分にその旨を相続人に説明をしておくと、トラブルが回避できます。

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