遺贈とは

最近遺贈をする人が大変増えています。核家族化が進み、家族の関係が希薄化している場合や、また独居のご高齢の方が増えてきたりと、家族体系が変化した事があげられます。

加えて、インターネットや書籍等で相続の知識を身につける事も簡単にできるようになったため、自分の築いた財産に思いを込めて、対策をたてられる方が増えた事も原因のひとつでしょう。

遺贈って?

「遺贈」とは、遺言で相続人以外の第三者に相続財産の一部または全部を贈与することです。本来相続が発生すると、相続人へ財産が承継されます。それを例えば、「孫にあげたい」「姉にあげたい」「お友達にあげたい」…と、相続人以外の方に財産を渡したい気持ちがある場合、「遺贈」という方法をとることになります。

遺贈には特定遺贈と包括遺贈があります。

特定遺贈
遺産のうち特定の物や金額を指定して贈与することです。

包括遺贈
財産を特定せずに遺産の何分の一という具合に割合を指定して贈与することです。

遺贈する人は…

公正証書遺言で思いを残しましょう!

「遺贈」をするには、遺言に自分自身の贈与をしたい内容を記載する必要があります。遺言には公正証書遺言と自筆証書遺言の2種類があります。自筆証書遺言については、手軽に作成はできますが、内容が曖昧であったり、法律内容に誤りがあると無効となるため、確実に遺贈ができるという保証が持てません。

また実行段階で家庭裁判所への検認手続が必要となるため、残された方への負担が大きいです。

その点公正証書遺言は、公証人に作成してもらう為、無効になることはございません。また検認も不要のため、相続開始後、すぐに手続きに移ることができます。是非公正証書遺言を作成下さい。

遺言執行者をつけましょう!

遺言は亡くなられた方の最終的な意思表示であるため、遺族の円満な納得のもと、その意志を尊重することが望ましいと考えられます。

しかし実際は相続人が多数いる場合など、相続人の間で利益が相反することが多く、遺言の執行が円滑に行われなかったり、公正に行われなかったりする可能性があります。

特に「遺贈」の場合、相続人以外の方に財産が渡るため、相続人の方からの反発を受けることもあります。そのような場合、第三者を遺言執行役とすることが望ましい場合もあります。

確実に自分の気持ち通りに財産を渡すためには、第三者を遺言執行者として選任し、手続きに協力して頂く方法がよいでしょう。

遺留分対策をしましょう!

遺留分とは、民法が相続人に保証している、一定割合の相続分です。

亡くなられた方は、原則的に自由に遺言を残し、自分の好きな割合で思うように遺産を分配することができます。 しかし、法律で定められている割合とは異なる分配をすると、遺産を受け取ることができない相続人にとっては、不公平になります。そこで遺言にも勝る最低限の相続分を、民法は保証しています。

ただ遺留分というのは請求をして初めて効力が生じます。つまり相続人が「故人の意思だから」と納得をしていれば請求をすることはないでしょう。

そのため、遺贈をしたいという特別の気持ちがある場合、生前に気持ちを打ち明けておくのも一つの手です。

もちろん、遺言内に遺留分を満たすだけの分配を相続人に対して書き記せば、遺留分請求をされることはございません。

財産をもらう人は…

遺贈を受ける人を「受遺者」といいます。

「あなたに財産をお渡ししたい…」という話を受けたら、その方に必ず公正証書遺言を作成して頂くようにしましょう。公正証書遺言を残しておくのは、残された相続人からの協力を得ることなく、手続きがスムーズに進むだけでなく、確実な書面があることでトラブル回避にもなります。

その他の渡し先

遺贈とは相続人以外の方に財産をお渡しする方法です。相手としては、孫、姉、お友達…といった、人に対してだけではなく、「寄付」という方法もございます。

寄付先

  • お寺
  • 学校関係(ご自身の出身校、国立大学法人…等)
  • 各種団体(医療関係、人道支援、環境保護、芸術文化…等)  など

生前に参加していた団体や、興味を持って取り組んでいた分野であれば相続人の方も納得されると思いますので、生前から気持ちを相続人にお伝えして根回しをしておくことをお勧めします。

また、直接伝えるのが難しいのであれば、遺言に「付言事項」といって、ご自身の気持ちを綴った文章を付けることができます。「寄付」というスタイルは是非とも「あたりまえ」になって欲しい遺贈スタイルですが、残された相続人にとっては、遺言をみて驚かれるという事態にもなりかねません。

生前にきちんと気持ちを伝えておくのが、円満相続と、自分自身の意志を貫く術かもしれません。

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