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生前贈与で失敗しない!生前贈与で注意すべき3つのポイント
calendar_month 2018年04月02日
生前贈与は、相続税対策として有効な方法のひとつです。しかし、「非課税だから」と安易に進めてしまうと、思わぬトラブルや税金の負担が発生する可能性があります。
例えば、贈与額が非課税枠を超えてしまったり、贈与の手続きに不備があった場合、節税どころか余計な税金を支払うことになることもあります。大切なのは、正しい方法で計画的に贈与を行うことです。
この記事では、生前贈与で失敗しないために注意すべき3つのポイントについて解説します。相続税対策を成功させ、家族に安心を与えるためのヒントをぜひご覧ください。
生前贈与とは?その基本と節税効果
生前贈与の仕組みを簡単に解説
生前贈与とは、親や祖父母などの財産を持つ人(贈与者)が、亡くなる前に自分の財産の一部を家族や子ども(受贈者)に譲ることを指します。この贈与には、贈与税が課せられることが一般的ですが、年間110万円以下であれば非課税で贈与を行える「基礎控除」が設けられています。この非課税枠を利用すれば、税金を支払うことなく資産を移転することが可能です。
例えば、贈与者が子ども2人に毎年110万円ずつ贈与すると、年間で220万円の資産を税金なしで移すことができます。この仕組みを活用することで、相続が発生した際の財産額を減らすことができ、結果として相続税の負担を軽減することができます。
また、生前贈与は相続時に発生するトラブルの予防にもつながります。贈与者が元気なうちに資産を分配しておくことで、遺産分割時に相続人同士で揉めるリスクを減らせるからです。このように、生前贈与は資産を税金面でも心理面でも効率的に移転する手段と言えます。
相続税対策としての生前贈与のメリット
相続税対策として生前贈与を活用する最大のメリットは、相続財産の総額を減らせる点です。相続税は、被相続人が残した財産額に基づいて計算されるため、生前に資産を贈与しておくことで課税対象額を引き下げることができます。特に、相続税率が高い場合にはこの効果が大きくなります。
例えば、親が生前贈与で10年間にわたり毎年110万円を子どもに渡した場合、合計1,100万円の財産が非課税で移転できる計算です。この金額分だけ相続財産が減り、相続税が軽減される効果が得られます。また、このような長期的な贈与は、贈与者自身が資産移転を計画的に進められる点でも有益です。
さらに、生前贈与を行うことで、子どもや孫がその資産を早期に活用できるというメリットもあります。例えば、教育費や住宅購入資金として資産を使うことで、家族全体のライフプランを支えることが可能です。
ただし、相続開始前3年以内の贈与は相続財産に組み込まれるため、生前贈与を行う際には早めに計画を立てることが重要です。長期的かつ戦略的に活用することで、相続税対策として大きなメリットを得ることができます。
非課税枠110万円の仕組みを正しく理解する
年間110万円の非課税枠の基本
生前贈与において、年間110万円の非課税枠は非常に重要なポイントです。この非課税枠は「基礎控除」と呼ばれ、贈与税が課されない金額の上限として法律で定められています。この枠を活用することで、贈与税を支払うことなく資産を受け取ることができます。
具体的には、贈与者1人につき受贈者1人当たり年間110万円までの贈与が非課税になります。例えば、親が子ども2人にそれぞれ110万円ずつ贈与する場合、合計220万円の贈与が非課税で行える計算です。このように、複数の受贈者に対して贈与を行うことで、効率的に資産を移転することが可能になります。
ただし、注意すべき点は、この非課税枠は「贈与を受け取る人」単位で計算される点です。一人の受贈者が複数の贈与者から贈与を受け取る場合、その合計額が110万円を超えると贈与税の課税対象になります。このため、贈与を受け取る際には、受贈者単位で金額を管理することが非常に重要です。
また、この非課税枠を活用する際には、贈与者と受贈者の双方が「あげる意思」「もらう意思」を明確に持つ必要があります。この意思表示がない場合、贈与として認められない可能性があるため、贈与契約書を作成することをお勧めします。
複数人からの贈与における注意点
贈与者が複数いる場合、非課税枠の適用方法には注意が必要です。例えば、父親と母親がそれぞれ子どもに110万円ずつ贈与することは可能ですが、子どもがこの事実を認識していない場合や、適切な記録が残っていない場合、贈与税の課税対象となる可能性があります。
税務署は、贈与が適切に行われたかどうかを厳しくチェックします。そのため、贈与契約書を作成し、贈与者ごとの贈与額や贈与日を明確に記録しておくことが重要です。また、贈与金が子どもの口座に確実に入金され、親がその口座を管理していないことを証明できる状況を作る必要があります。
さらに、贈与を受け取る子どもが未成年である場合、親が管理する口座に贈与金が入金されていると、実質的に親の財産と見なされるリスクがあります。このような状況を避けるため、受贈者の名前で新たに専用の口座を開設し、そこに贈与金を振り込むことが推奨されます。
非課税枠110万円の活用は生前贈与の基本ですが、複数の贈与者が絡む場合には特に慎重な対応が求められます。記録や意思表示の明確化を徹底することで、贈与税のトラブルを防ぎ、安心して贈与を進めることができます。
生前贈与における贈与契約書の重要性
贈与契約書を作成する理由とは
生前贈与を行う際には、贈与契約書を作成することが非常に重要です。贈与契約書とは、贈与者が「財産をあげる意思」を持ち、受贈者が「その財産をもらう意思」を示したことを明確に記録した書類です。この書類を作成することで、贈与が正式な契約として認められる証拠となります。
贈与は法律上「契約行為」とされており、双方の意思が明確に存在しなければ成立しません。例えば、親が子ども名義の口座にお金を移しても、子どもがその事実を知らない場合や、贈与の意思が曖昧な場合には、税務署から贈与と認められない可能性があります。
さらに、贈与契約書がないと、贈与が行われたかどうかを税務署に説明する際に証拠が不足し、課税対象となるリスクが高まります。特に、金額が大きい場合や長期間にわたる贈与を計画している場合は、贈与契約書が必要不可欠です。
贈与契約書を作成することで、トラブルの防止にも役立ちます。例えば、家族間で財産分与の取り決めが後から問題になるケースがありますが、贈与契約書があれば当事者全員が内容を確認できるため、誤解や紛争を未然に防ぐことが可能です。このように、贈与契約書は法的にも心理的にも生前贈与を円滑に進めるための鍵となります。
税務署に認められるための正しい記録方法
税務署に贈与を正式に認めてもらうためには、贈与契約書の記録方法にも注意が必要です。まず、贈与契約書には以下の基本情報を正確に記載します:
- 贈与者と受贈者の名前および住所
- 贈与の日付
- 贈与する財産の詳細(例:金額、不動産の種類など)
- 双方の署名および捺印
これらの項目が明確に記載されていないと、贈与の成立が認められない可能性があります。また、契約書には贈与者と受贈者が対等な立場で合意していることを示す記述が求められます。
さらに、贈与契約書は単に作成するだけでは不十分で、適切に保管することも重要です。特に長期間にわたる贈与の場合、毎年の贈与契約書を揃えておく必要があります。税務調査が行われた際に、過去の贈与履歴を証明できるようにするためです。
税務署からの信用を得るためには、贈与契約書以外の証拠も揃えることが効果的です。例えば、贈与金額が受贈者の専用口座に確実に入金された記録や、受贈者が贈与を受けた財産を実際に管理・使用している証拠(通帳記録や使用履歴など)が挙げられます。
これらの証拠が揃っていることで、税務署が贈与を適切に行われたものと認識しやすくなり、課税リスクを軽減することができます。生前贈与を計画する際は、正しい記録方法を取り入れることで、安全かつ確実な贈与を実現しましょう。
相続開始前3年以内の贈与と相続税への影響
相続税に加算されるケースとは
生前贈与は相続税対策として有効ですが、相続開始前3年以内に行われた贈与は注意が必要です。税法では、被相続人が亡くなる前の3年間に相続人に行われた贈与は「相続財産」に含まれると定められています。このため、節税を目的として行った生前贈与であっても、3年以内の贈与分については相続税の計算対象となり、節税効果を得られない場合があります。
例えば、父親が亡くなる直前に子ども2人に各500万円を贈与していた場合、その1,000万円は相続財産に加算され、相続税が課されます。このルールは、相続税の課税逃れを防ぐ目的で設けられており、計画的に生前贈与を進めることの重要性を示しています。
一方で、相続人以外の第三者に対する贈与についてはこのルールが適用されません。例えば、孫や甥、姪などに対する贈与は相続財産に含まれないため、相続人以外の家族への贈与を検討することも一つの方法です。ただし、非課税枠や特例の条件を守る必要があるため、事前の計画が欠かせません。
生前贈与が無効になるリスクを避ける方法
生前贈与が税務署に無効とみなされるケースもあります。その多くは、贈与の形式が適切でない場合や、贈与契約が曖昧である場合に発生します。これを避けるためには、次の3つのポイントを押さえることが重要です。
- 贈与契約書を作成する
贈与の意思を証明するため、贈与契約書を必ず作成します。契約書には贈与額や日付、双方の意思表示を明記し、署名捺印を行うことが求められます。 - 贈与金の移動記録を残す
贈与金が実際に受贈者の口座に振り込まれた記録を保存します。現金での手渡しは税務署から贈与と認められにくいため、銀行振込を活用することが推奨されます。 - 贈与金を受贈者が管理・使用する
受贈者が実際にその財産を管理し、利用している証拠を残すことが重要です。例えば、贈与金を教育費や生活費に使用した場合、その領収書や支払い記録を保存しておくとよいでしょう。
これらの手続きを正確に行うことで、生前贈与を無効とされるリスクを避けられます。特に、相続開始前3年以内の贈与については慎重な計画と実行が求められます。
配偶者控除や教育資金贈与など特例の活用法
生前贈与には、非課税枠110万円以外にもさまざまな特例が設けられています。これらの特例を上手に活用することで、相続税や贈与税を大幅に軽減することが可能です。
配偶者控除の活用法
配偶者控除とは、結婚20年以上の夫婦間で住宅取得資金や居住用不動産を贈与する場合に適用される特例です。この制度では、基礎控除110万円に加えて最大2,000万円までが非課税となります。
例えば、夫が妻に居住用の土地や建物を贈与する場合、この特例を利用すれば高額な財産であっても非課税で贈与することが可能です。なお、この特例は一生に一度しか適用できないため、適用時期や贈与額を慎重に計画する必要があります。
教育資金贈与の非課税特例
教育資金贈与は、親や祖父母が子どもや孫の教育資金を目的に贈与を行う場合に適用される特例です。この制度では、受贈者1人当たり最大1,500万円までが非課税となります(学校以外の教育関連費用は500万円が上限)。
例えば、祖父母が孫の学費や入学金を一括で支払うために贈与を行った場合、贈与税を支払わずに多額の資金を移転できます。この特例を利用するためには、金融機関を通じて専用の口座を開設し、資金の使途を明確にする必要があります。
結婚資金や出産育児資金贈与の非課税特例
結婚資金や出産育児資金に充てる目的で贈与を行う場合も、非課税特例が適用されます。この特例では、結婚費用と出産育児費用を合わせて1,000万円までが非課税となります(結婚費用の上限は300万円)。
例えば、両親が子どもの結婚式費用や出産準備費用を援助する場合、この特例を活用すれば贈与税を回避できます。この制度を利用する場合も、金融機関を通じた手続きを行い、領収書や使用履歴を保存することが条件となります。
これらの特例を計画的に活用することで、非課税枠を大幅に拡大し、効率的な資産移転を実現できます。家族の状況や財産の規模に応じて、最適な特例を選択しましょう。
生前贈与で陥りやすい失敗例とその回避策
生前贈与は相続税対策として有効ですが、誤った方法で行うと節税効果が得られなかったり、思わぬトラブルを引き起こすことがあります。ここでは、非課税枠を超えた贈与の失敗例や曖昧な贈与方法が原因で起こる問題について具体例を挙げ、その回避策を解説します。
非課税枠を超えた贈与の失敗例
年間110万円の非課税枠を正しく理解せずに生前贈与を進めた結果、贈与税の課税対象となるケースは少なくありません。例えば、父親が子どもに対して毎年100万円を贈与している一方で、母親が別途子ども名義の口座に50万円を入金していた場合、合計で150万円の贈与が発生したとみなされます。この場合、40万円が基礎控除を超えているため、贈与税の課税対象となり、税金を支払う義務が生じます。
さらに、非課税枠を超える贈与を意図的に隠す行為は、税務調査の対象となるリスクを伴います。例えば、現金での手渡しや複数回に分けた振り込みなどで非課税枠を超える贈与を隠そうとしても、税務署が銀行口座や資金の流れを追跡し、課税対象として指摘されることがあります。
回避策:
- 受贈者ごとの贈与額を明確に管理する
贈与者が複数いる場合、それぞれの贈与額を合計し、非課税枠を超えないように注意します。 - 贈与契約書の作成
贈与の内容や金額を明確に記載した契約書を作成し、贈与の意図と金額を記録しておくことでトラブルを防ぎます。 - 専門家への相談
専門家のアドバイスを受けながら贈与計画を立てることで、課税リスクを最小限に抑えることができます。
曖昧な贈与の方法が引き起こすトラブル
贈与を行う際に、あげる側やもらう側の意思表示が曖昧であると、後からトラブルになる可能性があります。例えば、親が子どもの名義で銀行口座を開設し、そこに資金を移動させた場合、その行為が子どもに知られていなければ贈与として認められません。また、親が口座を実質的に管理している場合には、名義預金とみなされ、親の財産として扱われるリスクがあります。
さらに、親が亡くなった後に他の相続人が「その贈与は事実上の遺産分割だ」と主張し、家庭内での争いが生じるケースもあります。このようなトラブルが発生すると、せっかくの生前贈与が遺産分割の混乱を招く結果となりかねません。
回避策:
- 贈与の意思表示を明確にする
贈与者と受贈者の双方が贈与の事実を認識していることが重要です。贈与契約書を用いて、意思表示を文書で残しておきましょう。 - 名義預金を避ける
受贈者自身の意思で管理できる専用口座を作成し、贈与金が確実にその口座に振り込まれるようにします。また、受贈者がその資金を実際に使用する記録を残すことも大切です。 - 家族間での共有と話し合い
贈与について事前に家族全員と話し合い、透明性を確保することで、後からの誤解や争いを防ぎます。
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